虫とりのうたと小太郎の左腕

基本的に読書感想文は、感想をそのまま書いています。ネタバレしてます。それから、意訳して独自解釈をして妄想をくりひろげます。あそばせ!

  • 虫とりのうた

ミステリー小説で、ホラー小説で、っていうカテゴリだそうです。ホラー小説は、はじめてに近かったので、子どもの頃読んだ「がらがらどん」を思い出しました。そういう恐怖です。

  • 小太郎の左腕

鉄砲の天賦の才。豪放磊落の武将。戦国の世の快活さ。それらを尊ばれる時代に、ゆるりと流れる惰弱な感性。そこに落ち込む自制。不安にかられるが、戦国の武将。計り知れぬ躍動を見た。良かった。

以下ネタバレ

  • 虫とりのうた

もう、後半は、呼吸するの忘れて頭痛くなるし、ぎゅうってむねがしめつけられる恐怖で目が血走り、いっそう眉間にしわが寄りました。途中からだんだんおしまいの方が分かってくるんですけど、ぐりぐりげんこつであたまをぎゅうって感じです。浦沢直樹の「MONSTER」を連想しましたが、日本での物語らしくそこまでからっとしてません。思いっきり殺しにくるし、悪意が伝搬するし。

  • 小太郎の左腕

のぼうの城」を読んでからのファンなんですけど、へへへ、2作目よりも断然(1作目よりはやや劣るかなぁと思ったけど)おもしろかったです。今回も、前半はちょっと退屈でしたが、後半、というか6章から涙が止まりませんでした。例に漏れず、電車の中でウルウルしているところを怪訝な視線を感じたので、体調不良を装い、上を向いて涙がこぼれないようにしました。ぐぅ。

上記の両著者は、読者からのツッコミが比較的辛辣な感想をよく目にする新鋭だと思います。予告で結論まで読めた。とか。史実をねじ曲げるな。とか。そういうのを気にして読むものではないと思います。ありきたりの話でも、語り部や主人公の挙動とかで物語は鋭くとがり、不思議な読書感をもたらします。そこらへんなんですよ。